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5/17 トラクター

time 2026/05/18

 昨年のことである。テイラーのロータリー、ギアボックスと変速シャフトをつなぐ心棒が、あっけなく真っ二つに割れた。音もなく息が止まる。ロータリーは沈黙した。
「これ、使えるんじゃない?」
連れ合いが差し出したのは、L字の小さな六角レンチだった。組み立て家具を買うと必ずついてくるような、あの手合いだ。それを適当な角度に折り曲げ、折れた軸の代わりにねじ込んだ。
エンジンをかける。ブルルルン、と鈍く目を覚まし、次の瞬間、ロータリーが回り出した。ちゃんと土を噛んでいる。
古い機械は作りが単純で頑丈なので、人間が少しだけ意地を見せると、時に素直に応えてくれるるものだ。連れ合いの見事な機転に、しばし感心した。
さて今年だ。今度は変速が利かない。ギィー、ギャー、とやけに芝居がかった悲鳴をあげ続ける。ロータリーは情けないほどゆっくり回っているだけで、畑を耕すという本来の仕事を忘れたみたいだ。
仕方がないので作業場に引き返し、ギアボックスを開けてみた。中を覗くと、シャフトを押さえるT字の部品が、上下動するためのレールから簡単に外れてしまう。何度はめ直しても、すぐに外れる。これでは変速など夢のまた夢である。
「外枠、曲がってない?」
またしても連れ合いの一言だ。見ると、確かに外枠が微妙に歪んでいる。長年の労働が、鉄を静かにねじ伏せた形跡がある。
金づちで叩き、矯め、戻してやる。時には力強く、時には繊細に。するとどうだ、これがまた、うまく収まった。
ただし、世の中は常に帳尻を合わせてくる。今度は変速そのものが利かなくなった。動くことは動くが、言うことを聞かない。まあ、畑は逃げない。時間ばかり食っても仕方がないので、その日はそこまでにした。
作業を続けていると、今度は抵抗棒が引っ込まない。どうやら妙な曲がり方をしている。叩いても、すかしても、びくともしない。これはまずい。
上から遠慮なくハンマーを振り下ろし、バンバンと叩いて、ようやく引き抜いた。
取り出してみると、細長い板状に部分は、縦から見ても横から見ても、見事に曲がっている。十年余りの繰り返しが、鉄にここまでの癖をつける。コツコツという言葉は、こういうときのためにあるのだろう。少し呆れ、少しだけ感心した。抵抗棒は、ひとまず別のもので代えることにする。
さて、畝立てだと気を取り直した矢先、今度はクボタの管理機TMA31が黙りこんだ。ロータリーが回らない。
開けてみると、Vベルトが固くなり、何本も亀裂が入って、だらりとたわんでいる。これはもう寿命だ。近くのホーマックで新しいものを買ってきて交換した。四千百円。
しかし回らない。
ならばと、漏れていたギアオイルを疑う。値段は四千円。ホルムズ海峡のせいだろう、軽い気持ちでは買えなくなっていた。だが油を足してみても、やはり回らない。
ここへ来て、手の及ばないところに来たと知る。オイル漏れも大概の量だ、しかも連結部分からではないので、止めるのも大変な作業だ。取り回しのためのハンドルシャフトも数年前にポッキリ折れていた。ホームセンターの部品で継ぎ接ぎし、なだめすかして使ってきた機械である。
中古で一万五千円。十二年働いた。もう十分だろう。
「よくやったな」
そう声をかけて、引退させることにした。
その足で中古トラクター屋に向かう。だが、管理機は今はないと言う。機械もまた縁である。
仕方なくジョイフルAKへ向かい、新品を買った。値段はもう考えないことにする。壊れた方は引き取ってくれるというので、すぐに車へ積み直して引き返した。
今年はいろいろ起こる。こういう年は、たいてい悪くない。
少なくとも退屈はしない。

管理人

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