今日はようやく草刈りに手をつけることができた。
草刈り、と言えば聞こえは穏やかだ。しかし、人が見れば畑などとは思うまい。誰の手も入っていない原野が、ただそこに横たわっているだけだった。草を刈るというより、荒れ地を人の土地へ引き戻す開墾と呼ぶほうが、よほど実態に近い。
キュウリのネットを張り、豆のネットも掛けた。これで蔓どもも、酔った社交ダンスのように互いへまとわりつくことは、少しは減るだろう。
これからは草を刈り、収穫し、さとほろの苗を育て、秋大根の種を播く。仕事は山ほどある。それでも、時計に尻を叩かれながら走り回る季節は、ひとまず越えたらしい。
あとはトウモロコシや枝豆を狙う連中との、毎年おなじみの仁義なき戦いが始まるだけだ。敵は腹を空かせ、こちらは汗を流す。勝ったところで勲章はない。あるのは食えるか食われるか、それだけである。
だから今は、その決戦の前の束の間を味わうことにする。畑にも人にも、息をつく時間くらいは必要だ。
さて、明日は国稀の新酒でも探しに出かけようか。そういう一日があっても、罰は当たるまい。





